イベントレポート「沖縄 とっておきのなんくる話」

 2025年12月4日に作家・仲村清司氏を招いて本学の教員である藤井誠二先生と柳井貴士先生の3人で対談を行いました。

 「ハイサイ!」、仲村さんの第一声は元気な挨拶で始まりました。沖縄の言葉で「こんにちは」という挨拶だそうです。大阪市生まれの沖縄人二世である仲村さんは、1996年に沖縄に移住され、『好きになっちゃった沖縄』を出版すると沖縄ブームが巻き起こります。沖縄ブームの火付け役となった仲村さんは沖縄で一躍大人気に。しかし、ブームが落ち着くと一転“沖縄を切り売りした男”と攻撃されるようになります。沖縄は様々な表情を持っており、リゾート地としての明るい面だけではなく、沖縄戦や米軍基地があることによって苦しめられてきた長い歴史の暗い面もあり、また本土と沖縄の関係など、沖縄について書く、とはどういうことか、ご自身のつらい経験を踏まえてお話くださいました。

 藤井先生も仲村さんと同じように沖縄についての本を多数出版されており、著書『ソウル・サーチン』では沖縄戦を描いた新里堅進さんの作品・評伝が収められています。この『ソウル・サーチン』のように、藤井先生は誰も書いてこなかったこと、沖縄の人でも気づかない外から見ないと分からない価値など、沖縄の方にとって風景の一部となっていることを外の目から見て、深掘りをしていくというスタンスで活動をされてきました。藤井先生が沖縄とどのように向き合ってこられたのか、東京と沖縄の2拠点生活を続けながら沖縄について肌で感じることをお話いただきました。

 仲村さんは「大事なのは『我と汝』の関係になること。お互いが対話をしながら相手と自分が仲間になり、より関係性を深めていくこと。」とおっしゃっています。お話をお聞きしながら、私たちは沖縄の実情について向き合い、もっと知る必要があると実感しました。

 最後に「沖縄は可能性を秘めた島である」と仲村さんの力強い言葉で締めくくられました。「沖縄はアジアの交差点、日本の尻尾ではなくアジアの玄関口である」という思想の共有ができれば、沖縄と共に築き上げる未来が見えてくる、とのことでした。

 沖縄の文学を学ぶにあたって、私たちが持つべき姿勢を教えていただきましたし、また、一元的な見方ではなく、視点を変えて多元的に見る必要があると、様々な気づきを得る時間となりました。