荒川 徹/あらかわ とおる

学位:博士(学術、東京大学大学院総合文化研究科)
専門分野:視聴覚芸術研究、美学

メッセージ

研究を続けるなか、現在の映像や音楽には、はっきりといくつかの影響源があり、先行する芸術作品の受容が欠かせないものであることが、強く感じられるようになりました。大学では、さまざまな作品と美学を吸収していきたいと思います。

ピックアップ授業:「映像制作b」

短編動画を作りためて、オープニングなども付けて、3-5分ほどのセルフプロデュースの番組を作っています。アナログ放送時代のレトロなCMの美学を研究して、レトロ風なCMを作るコーナーもあります。SNS時代の映像と、インターネット以前の映像が混じり合い、それぞれの個性と、定番フォーマットのバランスがちょうどよく仕上がってきていると思います。

演習(ゼミ)について

ミュージックヴィデオ以降の映像表現を中心に、研究と実作を重ねます。Davinci Resolve、SONY α7シリーズやNANLITEのカラーLEDライトなど、軽さと表現力を兼ねそなえた体制で、個人の制作を行います。

研究課題・活動など

現在の研究=ミュージックヴィデオの美学:特に80年代以降の映像(ドラマ、アニメ含む)におけるルックと音楽性、その影響源を分析し、現在の日本のミュージックヴィデオに至る映像スタイルの歴史と方法を明らかにしようとしています。タルコフスキー、ゴダール、リンチといった先駆者、ジブリ以降のアニメーションについての論考を積み重ねています。
これまでの研究=ミニマリズムの芸術:箱形オブジェクトで知られるドナルド・ジャッドの絵画・オブジェクト・建築・家具の展開を、アメリカの風景・建築史や数学的方法論から分析してきました。現在もドナルド・ジャッドとミニマリズム研究を続けています。

略歴

2006年、多摩美術大学美術学部芸術学科卒業。2015年、東京大学大学院総合文化研究科(表象文化論分野)博士課程修了。日本学術振興会特別研究員(RPD・PD)を経て、2021年より愛知淑徳大学創造表現学部准教授。著作に『ドナルド・ジャッド 風景とミニマリズム』(水声社、2019年、表象文化論学会奨励賞、第30回吉田秀和賞受賞)、共著に『映像と文化 知覚の問いに向かって』(藝術学舎、2016年)など。