阿部 卓也/あべ たくや

学位:博士(学際情報学)東京大学
専門分野:メディア論、デザイン論、デザイナー

メッセージ

これからの大学の役割は、学生が様々な知識をつなぎ、自分を客観的に認識して新しい目標やキャリアを自覚するための、メディア(媒介者)になることだと思っています。メディアプロデュース専攻も、皆さんが確かな知を学びながら、自ら創造的な未来をデザインしていく場でありたいと願っています。

そのとき皆さんには、他者を受け入れる多様性や、勝手な思い込みに捉われない柔軟性を大事にしながらも、何より自分自身の取り組みへの強いこだわりや執念を持って欲しいと思います。

何かを「やる」べきか「やらない」べきか。どちらにせよ、もっともな理由は無限に発明できます(あなたが何もしなくても、別に誰も困らないのです!)。だからこそ私たちは、自分で考え抜いたことを信じ、諦めずに続けることによってしか、何かを成し遂げることはできません。お互いに、頑張りましょう。

ピックアップ授業:「モーショングラフィックス」

「モーショングラフィックス」は、クリエイティブ用PCを備えた教室でおこなう実習授業で、MVなどの分野で活用される映像・アニメーション表現を、基礎から学びます。短編映像の制作課題に取り組みながら、静止画と動画、実写とイラスト、文字とイメージといった分野の違いを横断し、目的に応じて自在に融合させて作品を作る力を磨きます。

「学生によるモーショングラフィックス作品の例」

演習(ゼミ)について

阿部ゼミは、グラフィックデザイン(イラストやポスター)、エディトリアルデザイン(編集や造本)、映像(アニメーションや短編映像)、ミクストメディアやインスタレーション、アナログ/デジタルゲーム、そしてデザイン研究論文の執筆などを主な領域とします。あなた自身でテーマや目標を決め、独力で完成させる経験を通じて、表現力(/論述力)や、自己プロデュース力を磨きます。同時に、全員で展示会の運営や作品カタログの制作など、成果を社会発信するための企画にも取り組み、グループワーク力やコミュニケーションスキルを育てます。

研究課題・活動など

戦後の文字デザイン(タイポグラフィ)史や絵本史など、「文字とイメージの際(きわ)にある表現分野」について調査・研究しています。作品や作家性に注目するだけでなく、テクロジーや流通のシステム、社会状況などへの理解を織り込んだメディア論という立場から文化や歴史を理解することで、未来の創作へのヒントを探したいと思っています。デザイナーとしても活動し、理論と実践の架橋に取り組んでいます。

著作:
『杉浦康平と写植の時代』(慶應義塾大学出版会、2023)
「絵本が登場するとき」(『ゲンロン17』所収、2024)ほか企画展への参加・寄稿
「もじ イメージ Graphic 展」(21_21 DESIGN SIGHT、2023)
「写真植字の百年」(印刷博物館、2024)ほか

デザイン作品:
「仮面ライダークウガ」(テレビ朝日)怪人/リント文字デザイン
岩手朝日テレビマスコットキャラクター「ゴエティー」デザインほか

「仮面ライダークウガ」キャラクター(怪人)デザイン ©石森プロ・テレビ朝日・ASATSU D.K.・東映

テレビ局CI(マスコット)「ゴエティー」デザイン ©岩手朝日テレビ

その他の研究業績はこちら:https://researchmap.jp/abetakuya

略歴

武蔵野美術大学基礎デザイン学科卒業、東京大学大学院学際情報学府修士課程(学際情報学)修了、同・博士課程単位取得満期退学。博士(学際情報学)。パリ・ポンピドゥーセンターIRI招聘研究員、東京大学特任講師などを経て現職。第15回立命館白川静記念東洋文字文化賞教育普及賞(2021)、第77回毎日出版文化賞特別賞(2023)、第45回サントリー学芸賞(2023)、第45回日本出版学会賞(2024)受賞、東京TDC賞2024入選。