宮田 雅子/みやた まさこ
学位:修士(学際情報学)(東京大学)
専門分野:デザインの理論と実践
メッセージ
大学で過ごす4年間は、失敗の経験や無駄な時間が許容される貴重な期間です。
本専攻では、メディアとその背景にある社会について知ることや、分析・批判をすることだけでなく、みずからメディアをとおして表現することとの間を往復しながら、立体的にメディアを学んでいきます。
みなさんには、失敗や無駄をいとわず、まずは自分の頭と手を使って表現し、確かめていく姿勢を持って貴重な4年間を過ごしてほしいと思います。
ピックアップ授業:「現代デザイン論」,「プリントメディアII」
現代デザイン論
デザインの制作経験を積み、技術をブラッシュアップするための演習授業を受講するのと同時に、そもそもデザインとは何をどのように考えていくべきなのか、知識を深めて視野を拡げることも重要です。とくに新しい技術やメディアが発展して私たちの社会生活が大きく変わってきた2000年代以降は、デザインの考え方も取り組み内容も大きく変化してきました。この授業では、現代のデザインが置かれた状況を的確に読み解き、自分のアイディアや提案につなげていくことができるよう、歴史や思想/地域と社会/人間/テクノロジー/未来への想像力といった観点からデザインを紹介しています。
●授業との共催でおこなった講演会
「ちょっと{みらい}考えてみた。 アート、表現、AIと人間が共存する世界」
https://www.aasa.ac.jp/live/pursuit/009519.html
プリントメディアII
スマートフォンやタブレットなどのデジタルメディアが普及した一方で、紙の印刷物の質感や温かみも再評価されています。紙の冊子には、デジタルデバイスがなくても閲覧できる手軽さや温かみ、人から人に手渡すことができる楽しさなどがあるためです。そんな状況を踏まえ、この授業では、紙に印刷する冊子の企画・提案をおこなっています。デジタルメディアの画面と違って必ずしも長方形だけではなく、円形や立体の形状を持った作品、切り取り線やのぞき窓のついた作品など、工夫をこらした提案がなされてきました。例年、7月のオープンキャンパスで前期授業での成果物の展示もおこなっています。
●専門家を招いた授業の様子(印刷のゲスト講義、最終講評会)
https://www.aasa.ac.jp/live/pursuit/009097.html
https://www.aasa.ac.jp/live/pursuit/009249.html
演習(ゼミ)について
社会におけるさまざまな問題に目を向け、デザインの力によってそれらの問題への新たな解決を生み出す方法を考えていきます。
デザインとは、これまでになかった新たな価値を創造し、人々の生活を豊かで幸せにするための手段だといえます。ポスターやリーフレットなどのグラフィックデザイン、エディトリアルデザイン、ウェブデザイン、イベントやプロジェクトの企画立案、人と人をつなぐためのワークショップのデザインなど、さまざまな手法の中から各自の得意なことを見つけて、じっくりと伸ばしていきます。
研究課題・活動など
専門は、メディアコミュニケーションデザインの理論と実践です。 専門家と非専門家や、地域の内部の人と外部の人とが協働することによって生まれる創造性に興味を持っており、これまでにワークショップやデザインプロジェクトを手がけてきました。
●研究業績(researchmap)
https://researchmap.jp/miyatamasako
デザインという言葉が使われるようになる前から、人間は身近にあるものを工夫して組み合わせたり変形させたりすることで道具をつくり、コミュニケーションを図ってきました。それらを参照しつつ、今われわれが暮らしている現在をそうした歴史のうえに位置づけることで、近代デザインの意味を問い直していきたいと考えています。
●オンラインエッセイ《日常のなかのデザイン日記》
https://instem.jp/author/masako-miyata/
●雑誌“5: Designing Media Ecology”のデザイン
https://instem.jp/magazine5/#j
略歴
武蔵野美術大学造形学部基礎デザイン学科卒業後、凸版印刷株式会社勤務を経て、東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。同大学院博士過程中退。東京芸術大学美術学部先端芸術表現科助教、札幌大谷大学芸術学部美術学科専任講師を経て、2014年から本学准教授、2021年から教授。